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「あこがれ」

 ユニークポイント(日本)と Dong Soong Stage(韓国)の日韓合同公演。池袋のシアターグリーン(ボックスインボックス)にて観劇。これはすごい。ひじょうに興味深く、身を乗り出したりのけぞったりしながら観ました。まずユニークポイントによる「あこがれ」の上演が約70分あり、休憩をはさんで同じ作品を韓国の劇団が韓国語で上演します(翻訳脚本はかなり改変されている)。ユニークポイントの上演だけで私はかなり満足度が高かったです。いい作品ですねー。しかし韓国版を合わせて観ることで、とんでもなくインパクトの強い一夜になったのでした。

 日常的な語彙のセリフを丹念に積み上げる。登場人物たちの関係やその推移。つまり「空気」のようなものを感じる舞台。それが日本版でした。その空気を作るために、全ての登場人物が貢献している。同時にその空気から外れないかぎり、どの登場人物にも自然な「いい表情」があり、出番が少なくたって、きちんとリアルな存在感があります。でも韓国版はゼンゼンちがう。まずセリフが長い。しかも演説調。というか、以前流行したフリーマイク形式のポエトリーリーディングを思い出しました。主要登場人物たちがみな「私の気持ちを理解して!」と強くストレートに主張する。モノローグの応酬であって、ダイアローグはほとんどない。そして主張の機会のない登場人物はただの端役でしかない。すっごいなぁ。こうも違うものですか!

 ま、私の好みとしては日本版をダンゼン支持します。韓国版は私には too much だなぁ。身も蓋もない。ただあの長セリフはかっこいいですね。韓国語のほうが聴いていて気持ちがいいです。たぶん喋ってる当人もそうでしょう。日本版にはないあの長いセリフを、もし日本語に訳して日本語で朗々と読んだって、たぶんつまらない。韓国で詩が盛んに読まれるのは、声に出して読んだり聴いたりするのが、音楽的に心地よいからなのかしら。(はやし)
by futohen | 2008-02-01 10:23 | 演劇一般