2007年 03月 27日
「花柄マリー」
仲のよかったグループにちょっとした「刺激」が加わる。そのことで、グループがひとりひとりほどけていく。立場や考え方のちがいが次第に浮き彫りになっていくんですね。これはドラマ作りのお手本ですね。王道。主人公たちの直面する問題は、ありふれたものです。であるがゆえ、観客としてこの作品を観ている高校生たちにとってもきっと切実なものです。序盤からあれだけ沸いていた客席が、中盤以降はしーんと静まり返っていました。
出演者の人数は少ない(7名)のに、登場人物は多い。これはどういうことかというと、セリフのなかで言及されるだけで、実際に舞台には登場しない人物が数名いるのです。登場しないけど、「登場人物」と言って差し支えあるまい。だってすごい存在感だもの。クラスメイトのマエハラ、イトウ、イシカワ。主人公マリーのお父さん。さらにはイトウの妹に至るまで。顔が見えて来そうなぐらい。声が聞こえて来そうなぐらい。しっかりと、この作品のなかに「存在」しています。あれはすごいですよ。脚本の力、演技の力、演出の力ですね。
私は「イシカワさん」がどっかで登場するんだろうと思っていたからね。どっかで出てくるだろうと。でも最後まで出てこなかった。うん。見終わって思ったけど、それが正解ですね。イシカワさんの存在は「刺激」だもんね。池に投げ込まれた小石のようなものだ。この作品が丁寧に描いているのは、池の水面にできた波紋だものね。小石そのものじゃない。小石まで描こうと思ったら、きっと60分に収まらなくなっちゃうんでしょうね。さすがだ。よくできているなぁ。
川之江高校の演劇部、私はこれが初見です。どんな演劇部なのか、いちど見てみたいとずっと思っていた。「夏芙蓉」や「見送る夏」の本家本元。かつて全国大会で最優秀賞を受賞。しかも2年連続という偉業。マーベラスだ。高校演劇では超有名な川之江高校です。なるほどなぁ。さすがですねー。いやぁ、今日はいいものを見ました。(はやし)
by futohen
| 2007-03-27 22:21
| 演劇一般