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机上風景「乾かせないもの」

 これは力作です。舞台を凝視して、1時間45分があっという間でした。重い。この重たさにしびれます。終演後、すぐには声を出すのがためらわれるほどの、この重たさ。何年か前の、高校演劇の「南京の早春賦」を私は思い出します。北関東大会の松本深志高校。あれも客席で見ていて、「なにもそこまで・・・」と思うほど内容が重いものでした。深志高校も机上風景も、どちらも戦争を扱っています。しかもどちらも戦場ではなく、いわゆる銃後の世界が舞台です。登場人物10人中、8人が女性。大切な人を待つ女たちの、苛烈なお話でした。

 途中でいちどだけ登場する兵隊さん(伍長)の、物腰やたたずまいがよかったです。清潔な感じがした。兵隊役だというと、声を張り上げた狂騒的な演技をする人が多い(という印象が私にはある)なかで、あの落ち着いた雰囲気が、かえって悲しくてよかった。

 チラシには「ある時代、ある国、ある戦争の裏側で・・・」とあります。描かれたのは架空の世界だ。まぁモデルは日本なんだろうなぁと思っちゃったけども、でも女たちの衣装はたしかに無国籍風。というか宮崎アニメ風(?)。作中で、ラジカセからベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」が流れて、それを聞いたひとりが「私、この曲、知ってる」とかってセリフがありました。だからリアルな日本の戦争じゃないんだけど、でもどっか日本っぽい。でね。まぁ遊びで、ここがどこなのか、私は勝手に決めちゃいました。「新疆ウイグル自治区」なんじゃないかしら。

 いや、理由らしい理由はないっす。新疆ウイグル自治区のことを私はほとんど知らないし。

 この夏の高校野球で、香川西高校に新疆ウイグル自治区出身の選手がいたんですよ。それで印象に残った。ちなみにキリッとしたハンサムです。きっと大会屈指。早実の斎藤くんにだって顔で勝っていると私は思う。香川西のキャプテンのウラムくん。この「ウラム」って名前がいいなぁ。登場人物たちの、タタラ、カイ、ブレイ、モスタル、ユエ、カズナ、ユチカ、といった名前のなかに、「ウラム」が混じっていても自然かなって。それだけなんだけど。(はやし)
by futohen | 2006-08-23 22:38 | 演劇一般