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信州にて、その2

 このマチの城跡には高校があります。新緑のいま、とってもいい雰囲気だ。吹奏楽を練習する音が聞こえます。きっと名門校なんでしょうね。在校生も卒業生も、地元の人たちも誇りに思えそうな感じだものな。私もこの学校の卒業生だったらななんて、ちょっと思ったな。

 その立派な正門(まさに名門)の前でボーッと立っていると、私の前に車が止まります。観光客らしきおばさんに私は美術館までの道を尋ねられました。ごめんなさい、私もそれ知らないよ。目抜き通りの商店街には、楽器屋や画材屋があります。私のリサーチでは(サンプルは少ないけど)、地方都市ではそれはレア・ケースですよ。音楽や美術の関心が高いマチなのかしら? 大きな古本屋さんもある。今日は休館だったけど、市立図書館も居心地がよさそうだ。おいしいカレー屋も、ささやかな悪所もある。うん、いいね。こんなマチに仕事場を持ちたいものだなぁ。東京へ出るのも容易だし。おやきをかじりながら、裏道を気持ちよく歩く。

 やはり信州の小都市にて。市内にちいさな川が流れ、そのほとりです。おいしいカレーを出すお店が、ここらに3軒もあるんですよ。まさにカレー三昧。今日はどこにしよう。迷うなぁ。この3軒、互いに徒歩10秒ほどのご近所です。午後1時20分現在、どのお店にも行列ができている。さもありなん。今日は行楽客も多いからなぁ(私もそうだけど)。しかもしかも。橋を渡った向こう側にはそれとべつに、「市内でいちばん辛いと評判のカレー」を食わせるお店もあるのだ。ぬぬぬ。この界隈、カレーのすごい集中力だ。こういうの、カレー・マルシェというの?

 でね。このトシになって、私はようやくわかりましたよ。人生の本質?

 おいしいカレー屋とおいしいトンカツ屋さえあれば、ラーメン屋がなくても私は生きていける。必要にして十分。きっとそうだ。人生なんてシンプルなものです。トンカツだって大事なのだ。インターネットさえあればテレビがなくても生きていける。そしてたぶん、稽古場さえあれば劇場がなくても私は生きていける。カレーを食べつつ、そんなことを思う。

 そんなのは私ぐらいかしら。(はやし)
by futohen | 2006-05-04 20:26 | 表現活動一般