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「東京タワー」

 古舘伊知郎が実況アナだったころ、「プロレスは男のタカラヅカだ!」とか「プロレスで泣きプロレスで笑い僕たちは大人になった!」だの言っていて、私はそのフレーズに「ほほぉ」と感心したものでした。が。いまにして思うと、古舘さん。あなたは正しくないですね。プロレスよりもやっぱり野球でしょう。ダンゼン。野球で泣き野球で笑い、私は大人になったのだ。

 野球は、いつもそばにある、ものなのだ。

 373ページ。松井がサヨナラホームランを打ち、その翌日は清原がサヨナラホームランを打つ。そのことにリリーは感じ入る。自分の生活あるいは人生において起こった出来事と、野球の試合とを、とっても近しくイメージしてしまう傾向は私にも顕著だ。リリー・フランキーと私とはその点で共通したメンタリティをもっているようだ。笑えるし泣ける。

 松井も清原も、かつての長嶋や王も、きのうのイチローも。私にとっての愛工大名電とかも。本人(たち)のまったく与り知らぬところで、多くの人の生活や人生において、彼らは登場人物となって、主人公を励ましたり力づけたりしているのだ。

 野球と、東京タワーと、母親と。

 お正月の「ALWAYS 三丁目の夕日」といい、この「東京タワー」といい。日本人ならこれで泣け、みたいな作品に今年はやられ続けています。なんなんだろう。私の素直さは。この長編エッセイ(?)を私に推薦してくれたのは女性で、しかも男の子の母親でもある方なのだけど、女性が読むのと男性が読むのと、受ける思いはおなじなんだろうか。(はやし)
by futohen | 2006-03-14 20:58 | 表現活動一般