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都立高校の授業

 朗読された詩に素直に感動。ぐっと来ました。授業中なのに。私は講師なのに。

 谷川俊太郎の「みみをすます」。これはいい詩だなぁ・・・。朝の1時間目から詩に感動している自分の瑞々しさ(?)を、私は誇りに思いたい。「しんぞうのおと」がおかあさんじゃなくておとうさんのなのが、ステキじゃないか? 今日の授業は私にとって、新鮮ないい授業でした。先日の「やさしさに包まれたなら」の余韻が、たぶんまだ私のなかに残っているね。

 この詩って、だれの言葉なんだろう。それを想像して、さらにぐっと来た。(はやし)
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by futohen | 2006-11-29 21:45 | 演劇一般

 芦原すなおの小説も、大林宣彦の映画も私は大好き。有名な作品ですよね。舞台で観るのは、私は初めてでした。60分間がなにせ楽しい。登場人物たちがという以上に、演じている出演者たちが楽しそうだったのが印象的です。序盤から笑いがとれる。演奏シーンでは手拍子が鳴る。登場人物たちの仲がいいだけじゃなく、作品と観客、舞台と客席も仲がよかったです。友好的な関係を作ることができた。その点で、この作品は他より一歩優れていました。

 シーンの転換も処理がきれいでした。完全には暗転してしまわずに、むしろ転換している様子を見せる。あれは相当練習したんでしょう。場転のBGMとしてその都度、当時のロックを流すのも、楽しい。転換要員も大勢いましたね。部員が増えたんだなぁ。

 私は以前にいちど、千葉日大一の作品を観たことがあります。去年1月の、船橋のフェスティバルでした。私の目当ては薬園台(の国語算数理科社会)でしたが、千葉日大一のことも覚えています。パンフを引っ張り出してみました。このときは男子部員はいなかったようですね。当時の1年生がいまはもう3年生。今回のメンバーのなかに当時の名前は見当たりません。代替わりしたのね。そうかぁ。去年の1月なんて、私には先週とか先月とかのことのようなのに。高校生に流れる時間はアレグロ(?)。私に流れる時間はアダージョ(?)。

 審査員の方々は「ホンがいい」「いいホンを選んだ」と口々におっしゃいました。私は逆で、むしろホンにこそ「伸びしろ」があるように思います。本来はもっと長い話を、60分に刈り込んだのでしょう。まだ、どこか「ダイジェスト版」の印象を拭えません。メンバーの恋愛や先生の不幸などのエピソードが、あっさりなぞられて、葛藤をもたらしていない気がします。楽器を入手することの苦労とかも、語られたら楽しいだろうなぁと思う(←「スウィング・ガールズ」みたいになっちゃうかもしれないね)。ただ、この「あっさり感」が、長所でもあるのですが。

 今回の大会は、重いテーマを扱った作品が多かったです。沖縄戦、核戦争、環境破壊、両親の不和・離婚・再婚、HIV感染、視覚障害、不登校、etc.神奈川大会でも人肉食、集団自殺、性同一性障害、いじめ問題などが扱われていました。ずっしりと重い。重いオンパレードです。そんななかにあって「青春デンデケデケデケ」は、すかっと明るく楽しく、痛快、というか軽快な印象がありました。うん。やっぱりこれがいいんだ。(はやし)
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by futohen | 2006-11-28 01:08 | 演劇一般

県立松戸「見送る夏」

 高校生たちの、夏の、淡い時間。やがて過ぎ行く。この「淡い感じ」がひじょうにステキでした。テーマは「優しさ」よりもむしろ「淡さ」なんじゃないだろうか。彼女たちの会話が、演劇らしい発声や表情をしていながらも、自然で、見やすい。観心地のいい作品ですね。

 河瀬直美の「萌の朱雀」を思い出しました。雰囲気というか、観ている気分があんな感じです。ひと夏のリアルな記録というか。無理に例えるつもりはないですが、夏休みのスナップ写真が静かに動いている、みたいな感じでした。淡々と、淡く、芝居は進んでいきます。このままずっと終わらなきゃいいのになぁ。彼女たちの時間も、夏も、高校時代も、この芝居も。そんなことを考えていたら、お兄さんが登場してきて、一瞬、國村隼かと思った。

 このホン、「夏芙蓉」の越智優さんですよね。すごいなぁ。当代随一のヒットメーカー(?)だ。あちらもこちらも、主に高校生女子たちの、どうということもない会話が活き活きと書かれています。ただ「夏芙蓉」には終盤に大仕掛けがある。ホンが泣かせにかかっています。「見送る夏」にはそれがない。その分、こちらのほうがデリケートで、演じるのは難しいんだろうと思います。これは大人の作品ですよね。登場人物は高校生ばかりでも。

 スイカを食べるシーン。おまんじゅうをほおばるシーン。カレーライスをよそうシーン。(飲食のシーンが多いなぁ)。みんないい表情でしたねー。とりわけおまんじゅうのシーン。よかったです。審査員の方がおっしゃったように、カレーの湯気も効いていましたね。役者たちのスローモーション、照明の変化、舞台の作り、すべてがきれいで垢抜けていました。

 県立松戸の顧問の先生は、きっと高校演劇界の有名な方ですね。配布された冊子を読むと、以前は文学座におられたんだそうです。先週の神奈川県大会でも審査員をなさっていました。千葉県大会の一週間前です。お忙しかったことでしょうに。その神奈川のときの講評がひじょうによかったのです(←講評の講評だ)。熱意と愛の感じられる講評でした。普段、演劇部の活動で、どんな指導をなさっているのか。とっても興味を感じます。(はやし)
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by futohen | 2006-11-26 23:31 | 演劇一般

千葉県大会、審査結果

 不安が的中。やっぱり麗澤高校の作品は審査対象外だったようですね。講評ではあれだけほめられていながら、採点表を見ると無得点でした。あれは「0点」というよりは「-」ということなんでしょう。仕方ないですね。ルールはルールだからな。もういちど観たかったけども。

 県立松戸馬橋「桜井家の掟」(最優秀賞)
 千葉日大一「青春デンデケデケデケ」(優秀賞第一席)

 以上の2校が千葉県代表として関東大会に進みます。おめでとうございます。

 松戸馬橋はこれで2年連続の最優秀賞です。すごいなぁ。ごめんなさい、今回の結果は私には意外でした。悪いとは思わなかったが、まさか最優秀だとは・・・。審査員の講評でも、初日分ではむしろ県立松戸の方が好評そうでした。発表の瞬間、すぐには頭が追いつかなかったです。失礼ですよね、ごめんなさい。私は去年の作品を観ていません。さらに言うと、船橋旭の(すごかった)イメージが私には残っていました。そんなこんなで、観る前から、松戸馬橋には期待が大きかったのです。いったいどんな演劇部なんだろうと。

 ランの声がかっこよかったなー。渡辺美里みたいでした。ただ全般に、役者が無理に大きな声を出していた感がなきにしもあらず。セリフがところどころ聞き取れませんでした。ま、それは修正も可能でしょう。ただ、この作品を最初に薬園台高校が上演したときは、セリフが聞き取れないってことはなかったんだろうなぁと、見てもいないのに勝手に比べてしまいました。過去の他校の上演と比べるなんて全くナンセンスです。私が間違っていました。

 うろ覚えで恐縮です。ラストちかく、窓から姿が見えたら大きく手を振る、みたいなセリフがありました。桜井家の掟。これはいいセリフだなぁと感心しました。帰り、神保町の三省堂で市販の台本を確認しましたが、このセリフは載っていませんよね。付け加えたのかな。

 さて。もし仮に。私が採点していいなら、最高点の10点はやはり麗澤高校に。次いで県立松戸に8点。そのほか県立流山東、千葉日大一、県立津田沼にも点を振りたいです。それぞれよさがありました。さすが千葉県というべきか。見ごたえのある作品が多かったです。

 つづく。はやし
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by futohen | 2006-11-26 21:28 | 演劇一般

麗澤高校「夏祭り」

 高校演劇・千葉県大会の今日が2日目です。私は朝から元気です。

 ユーミンの「やさしさに包まれたなら」って、あんなにいい歌だったのかー。私は20年も前からこの曲を耳にしていました。いまの高校生が生まれる前からだ。いい歌だったんですね! 今日はじめて気付きました。「魔女の宅急便」を観たときも気付かなかったのに。

 物語はいわゆるビルドゥングス・ロマンです。成長の物語。まずめずらしいのが、場所です。岐阜なんです。たぶん土岐市かな。岐阜の高校生たちのお話なのですね。岐阜県が舞台の物語って、あまり知りません。主人公は東京の高校生・ヨシゾウ。有名進学校に通うヨシゾウが、家庭の事情で岐阜の親戚の家で暮らすことになる。物語はここから動きはじめます。

 いとこのタカちゃんがなにしろ魅力的です。人物造形がいい。タカちゃんがいいからこそ、主人公のヨシゾウが活きる。キョウコたち、ほかの登場人物もいい。役者たちの演技にも好感が持てました。そしてなによりホンがいいです。人物の配置がいいし、構成がいい。物語の中心は、むしろタカちゃんの身にふりかかる出来事です。それでもタカちゃんを主人公にしない。ヨシゾウを主人公にして、ビルドゥングス・ロマンの形をとった。ヨシゾウを(タカちゃんと観客との)クッションにした。そのことが物語に厚みを持たせました。

 タカちゃん、弓道をやっているんですねー。いいなぁ。以前、私のワークショップにわざわざ岐阜県から参加してくれた方がいました。彼も高校時代は弓道部だったって言ってたなぁ。そういや「1980アイコ十六歳」のアイコも弓道部員じゃなかったかしら。富田靖子。ま、あれは岐阜じゃなくて名古屋だけど。東海地方って、弓道が盛んなのかな。弓道といえば、東海地方? そういうの、清清しい気がしていいですね。名古屋出身の私はちょっとうれしい。
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by futohen | 2006-11-26 00:13 | 演劇一般

 物語の終盤。圧巻だったのは病室のシーンです。優しく、切ない。あのとき、きっと観客全員が集中していたと思います。観客がみんな息を呑むように、固唾を呑んで、舞台を見守っていました。そう、「見守る」という感じだった。ひとりの登場人物の一挙一動に、観客があんなに意識を集中する、濃密な時間。私は去年12月のグリングの「海賊」を観たとき以来でした。

 この作品は、高校演劇のみならず、今年私が観た舞台のベストワンかもしれません。

 ごめんなさい。内容を書いてしまいます。ご容赦ください。

 タカちゃんが、お母さんのために「やさしさに包まれたなら」を歌うのです。病室で。ベッドの脇で。優しく、語りかけるように、お母さんに歌って聞かせる。これには打たれました。観客はその声に耳を澄ます。思い出すだに、泣けてきます。「歌」って、すごいですね。

 このことは先日「演劇」の授業で私が熱弁したことにも関係するね。「歌」って、ひとりで歌ったり、大勢に聞かせたりするのがほとんどです。演劇の舞台で歌われる歌は特にそうだ。でも、特定の誰かひとりに聞かせるために歌われる歌って、すごいチカラがあるんだな。タカちゃんの歌は、お母さんに向けて歌われたのであって、私に向けられたものではなかったけど、客席で聞いていて、泣けるほどしびれました。観客はみんなそうだったんじゃないかしら。
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by futohen | 2006-11-26 00:02 | 演劇一般

 千葉県大会は終演後にインタビューがあります。幕が下りたらすぐ、出演者が2、3名、幕の前に出てくる。いま芝居が終わったばかりの出演者です。で。実行委員(?)の高校生がインタビュアーになって、役作りの苦労を尋ねたり、会場からの質問を受けたりするのです。幕の裏では、突貫工事で舞台セットの撤収と搬入をやっています。次の上演校の開演まで15分間のインターバル。これを埋めるための、観客に対するサービスですね。

 麗澤高校の出演者が舞台ソデから出てきたとき。客席はちょっと特別な盛り上がり方をしました。そういうのは、客席にいて肌でわかります。喜ばれ方が、他校のときとはちょっとちがっていた。「夏祭り」のウケが、やっぱりよかったってことの、これはひとつの証です。

 私が審査員なら、この「夏祭り」を推したいです。ぜひもういちど観てみたい。瑞々しい、夏らしい、高校生らしい、ステキな作品でした。関東大会はもちろん、全国大会に進んでも不思議はないです。それだけの価値がこの作品にはあります。でもね。私は悲しい。残念です。おそらくこの作品は関東大会には進めないだろうと思うのです。

 麗澤高校の「夏祭り」は上演時間の制限を7分もオーバーしてしまったのです。

 市川市文化会館のホールには、壁の高い位置にデジタルの時刻表示があります。客席からは本番中もそれが読める。「夏祭り」は、開演してからずっと「いいなぁ」と思いながら観ていました。45分をすぎたぐらいで、私は「これで決まりじゃないのか」と思いはじめました。あとは破綻なく終わってください。普段は気にしないのに、時間が気になってきた。でも55分になっても終わり方が見えません。59分になって、どんな終わり方でもいいから終わろうよと願いました。そわそわする。でも60分をすぎ、61分になってしまった。ああああ。

 ユーミンの歌詞にあるように「大人になっても奇跡は起こる」なら、私は時計を止めたかったです。時間を7分間止めてみたかった。時間制限のルールって、どれほど厳しく適用されるんでしょうか。審査員の方々が、講評でどんなことをおっしゃるのか、気になります。

 ちなみに。例の病室のシーン。「ちぃ、いさぁい、ころぉ、はぁ、かぁ、み、さまが、いて、」と、タカちゃんが歌いはじめたのが62分です。すでに「幻の時間帯」に入っていました。すごいですよね。私はとっくに「これで決まり」だなんて思っていたのに。まだそんなクライマックスが待っていたとは。うううう。もういちど観たいなぁ!(はやし)
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by futohen | 2006-11-25 23:43 | 演劇一般

 失礼ながら、「優秀な作品」だとは思いませんでした。演出のメリハリが不足していたと思うし、発声もあまりよくなかった。「このシーンで声が聞き取れないのはもったいないなぁ」と思ったシーンが複数ありました。それでも、私はこの作品が好きです。

 あの「未知との遭遇」のシーン。審査員の方々も講評でほめていましたね。あのシーンはおもしろかったなー。あっはっはと声を出して笑った。私が見た10本のなかで、いちばん笑ったのがこのシーンかもしれない。ああいう、いい意味のばかばかしさを、私も忘れちゃいけないなと思いました。舞台ならではの魅力だと思います。

 看板を描く、ラストのシーンもとってもよかったです。全員がひとつのおなじ作業に取り組む。取り組みながら会話を交わす。その様子が、自然だし、みんないい表情をしていて、見ていて「いいなぁいいなぁ」と感心しました。この、全員で作業に取り組む(ここでは「看板を描く」)というのは、王道です。演出家として、私だったらゼッタイそういうシーンを作る。これも、私の記憶ちがいだったらごめんなさい、10本のなかで、このシーンだけだったんじゃないかな。上演順が13校目、ラストのラストで、私好みのとってもいいシーンを見ることができました。

 そう、しかもそれが、片手にハケを持って看板を描いているんです。まるっきり「ペンキ屋」だ。私は自分のワークショップでいつも「ペンキ屋」という課題を試していますが、本当にペンキ屋さんの作業をしているのを舞台で観たのは、これが初めてでした。その分、いっそううれしかったんだな。そこに幕が下りてくる。幕の引き方、芝居の締め方もすごくよかったです。

 講評で、審査員の方(たしか俳優座の方)は、部員たちに語りかけるように、あのラストのシーンはカットしても成立するよね(つまりカットした方がいい)と、おっしゃっていました。私はラストのシーンを、まさに大会の掉尾を飾るにふさわしい名シーンだとさえ思ったのに。見る人によって見方は変わるもんだなぁ。ま、そういうものですけどね。(はやし)
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by futohen | 2006-11-24 21:05 | 演劇一般

 10月29日に小学生たちとワークショップをおこないました。そのレポートが公開されています。よろしければご覧になってください。改めまして、参加してくれた小学生のみなさん、ご協力くださった大人のみなさん、お疲れさまでした。ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。小学生が対象でも、やっていることは先日の「俳優を目指さない演劇ワークショップ」とおなじです。その、あまりのおなじっぷりに笑ってしまうのではないかしら☆

 あ。ちなみに「大きな木の下」とあるのは、もともと砧公園(つまり野外)でやるはずだったためです。前日の雨の影響で、野外はやめて、渋谷区内の施設を利用しました。

 この日は工藤先生をはじめ「国語専科教室」のスタッフのみなさんが会場にいらっしゃいました。工藤順一先生は、「国語のできる子どもを育てる」「論理に強い子どもを育てる」(いずれも講談社現代新書)などのご著書がある、国語教育のオーソリティーです。私もご本を拝読しました。ひじょうにタメになりました。おもしろいです。お薦めです。今回のワークショップは、小学生たちがここでの「演劇体験」を、あとで作文にまとめ、それを工藤先生が添削なさるという企画でした。一体、どんな作文が書かれたことやら。気になるなぁ。(はやし)
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by futohen | 2006-11-22 20:48 | ワークショップ

都立高校の授業

 毎回、とにかくよく話し合う。授業をしている時間より、話し合いの方が長いくらいだ。演劇にいわゆる正解はないのとおなじで、授業にも正解はない。方向性を見定めた上で、私たち講師は経験を重ねていくしかないのだな。演劇の稽古とおなじ。いちどいちど最善を尽くして、よかれと思ってチャレンジもして、たっぷり振り返って、次回に活かす。これの積み重ねだ。もっとも演劇には本番があるけど、授業にはありません。つまり「これで終わり」ってのがない。学年が変わり生徒たちが入れ替わっても、自分が引退するまで精進しつづけるのだ。

 ああして図書室を利用するのはひじょうにいいことだと思う。(はやし)
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by futohen | 2006-11-22 20:01 | 演劇一般