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独白

 草野心平の「ごびらっふの独白」を朗読の授業で読む。あちらに広く社会を見据え、義憤に駆られている蛙がいて、こちらには好きな相手を思い気持ちが揺れている蛙がいて(「花占いのように」という発想は本当に素敵だ)、その近くには重大な失敗(それがなんなのかは知らない)をしてしまって落ち込んでいる蛙がいて、他にもたくさんの蛙が思い思いの独白をしている(なにを思っているのかはお互い知らない)この暗い賑やかな田んぼにひとり、あんな独白をしている蛙がいたのだ。コージーの登場の仕方はかなりかっこよかった。

 幸福とはたわいなくっていいものだ。
 おれはいま土のなかの靄のような幸福につつまれている。
 地上の夏の大歓喜の。
 夜ひる眠らない馬力のはてに暗闇のなかの世界がくる。
 みんな孤独で。
 みんなの孤独が通じあうたしかな存在をほのぼの意識し。
 うつらうつらの日をすごすことは幸福である。


 素敵だ。つかの間、幸福な時間を私もすごしました。世界の一部になる喜び。(はやし)
by futohen | 2008-09-25 02:31 | 表現活動一般