2007年 10月 27日
「種は記憶や想いを運ぶ船である」
日比野克彦の、あの船! あれ、いいわ~。ああいうの、少年の心がくすぐられるわ。でっかい船が3隻、展示室にどどーんと置かれている。中に人が入れるほどの大きさです。名前は「金沢丸」と「明後日丸」と「あざみ平丸」。(←「あざみ」はくさかんむりに「助」。「あざみひら」は新潟県の地名です。越後妻有アートトリエンナーレがこの企画の「出航地」だったことが命名の由来のようです)。日比野克彦だから、船は当然ダンボール製。耐水加工したダンボールは茶色っぽくて、昔の木製の帆船のような色合い。「船だな!」って感じですよ。
そしてなにより、船全体がアサガオのタネの形をしているんですよ。丸っこくて、寸詰まりで。昔のチョロQみたいな感じのフォルムですわ。いいなー。タネ状のでっかい船。もう、うっとりしちゃいました。これ、実際に船出するんだそうです。本当か? ぜひ見たいよ、船出。
ソフィ・カルの「ヴェネチア組曲」。モノクロの写真が数十枚と、その脇に英語の文章が添えられています。写真はどっか外国の街だ。特にどうってことはない。でも解説を読んでたまげました。作者のソフィ・カルは「孤独を癒す」ため、パリの街で見知らぬ人を尾行する。そしてたまたまその人物がヴェネチアに行くことを知り、ソフィはヴェネチアまで追跡するんですよ。
展示されているのは、その13日間(!)にわたる追跡行の記録写真、および追跡日記。これが、いかにも孤独な人が書いたっぽい文章で・・・、きっついなぁ。パリからヴェネチアまで追って行くって、そこまでやるかソフィ? 知らん人でしょ。どうしてほしいのよ。その執着心というか、暗い情念のようなものに、なにかこう、打ちのめされたような気分になりました。(はやし)
by futohen
| 2007-10-27 23:57
| 表現活動一般