「氷の華」

 天野節子の「氷の華」(幻冬舎)を読みました。この作品、お勧めです。「恭子」という人物の性格や行動には、ひとっ欠片も共感できません。でも全体としておもしろかった。傑作ミステリです。これ、あまり話題にはなっていないようですね。今年度の収穫だと思いますよ。松本清張作品の「地道さ」と岡嶋二人作品の「構成の妙」をブレンドしたような味わいで。

 そんなふうに思いながら読んでいたら、330ページで、ある登場人物が「『砂の器』という小説、読んだ?」といきなり言うので、おおおおーと思いました。やっぱり天野さん、清張を意識していたのね。そう思ってみると、「氷の華」ってタイトルもどっか松本清張っぽいですね。

 天野節子さんは1946年生まれだそうです。これがデビュー作の新人作家とはいえ、人生のベテランなのだ。文章の、この落ち着いた感じ(そして失礼ながら少々古い感じ)は、ご本人の人生経験の重みなのかしら。新作が出たら、きっと読みます。楽しみ楽しみ。

 今夜はあうるすぽっとにて、「ドラマ・イン・エデュケーション」のセミナー、応用編でした。知っている方とばったり同席し、妙にうれしく楽しく、私は「果敢さ」を発揮するのをすっかり忘れたまま、セミナーを終えたのでした。でもおもしろかったし、収穫も満足も大。(はやし)
[PR]
by futohen | 2007-08-07 00:46 | 表現活動一般