2005年 12月 04日
「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」
この「鯨」がやっぱりいちばんの傑作なんじゃないかな。
「鯨」が最新作だった頃、だから3、4年前か。私の中でラーメンズの大ブームが起こり、この「鯨」はビデオがすりきれるぐらいに見返したものでした。とくにさいごの「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」はたまらない。たまらなかったですよ。そしていま見てもたまらない。あの頃から3、4年も経って、だからこそたまらない思いがするのかもしれない。
話のおもしろい男(片桐仁)が「おもしろくない話」をするところは、何度見てもステキだ。ステキなんだと思う。普通に話のできない男(小林賢太郎)がそれでも必死に片桐を引きとめようとするところは、よい。みんな同じ感想をもつだろうが、あのシーンはいいよなぁ。小林賢太郎の、あまりに小器用な演技があざとくも感じられるけれど、それでもあれはいい。哀しい。ああいうのにやられてしまう辺り、小林賢太郎の術中にハマッてしまったのだと思うとくやしい。けどあれはいい。哀しい。
ラーメンズというコンビ自体、いかにも器用な男(小林)といかにも不器用な男(片桐)のコンビだ。けれど、じつは小林にも不器用なところがあり、片桐にも器用なところがあるんだろう。たぶん。じゃ、自分はどうか。みたいなことをやはり思うわけだ。術中にハマッている・・・。
ま。いちどご覧あれ。
ずいぶん以前。私の知り合いで「ネプチューンのコントを見て人生を知った」みたいなことを言う人がいて、私は「おもしろそうだな。見てみよう」とも思ったのと同時に、「でもコントだろ。コントで人生なんて?」とも思い、結局いまに至るまでネプチューンのコントを1本も見ていない。その後、私はラーメンズのコントを見て、それで人生を知ったりなどはしなかったと思うけど、でもそういうこともあるかもな、とは思うようになりました。(はやし)
by futohen
| 2005-12-04 23:25
| 演劇一般